構造解析の最適化
昨今のコンピューターの処理能力の向上で、以前は人間がやっていた作業をAI(人工知能)が処理するようになってきています。我々の業界も同様で、数理工学や経営工学から生まれた最適化手法の建築構造設計への応用が考えられるようになってきました。
手法も様々で、目的と制約から直接解を導く非線形計画法や、選択、淘汰、突然変異の原理を模倣した遺伝的アルゴリズムに代表される 発見的最適化手法など。いずれも、様々な与条件(問題)があり、出来るだけコストを押え(制約)、力学的合理性のある建物を目指す(目的)設計作業への親和性は高いように思います。
ただし、いくら最適解とされても、オリジナリティに溢れ、創造的で美しい建物を目指す作業はコンピューターには出来ません(おそらく)。
解を睨み、違和感を感じ取れる目を。柔軟に応用できる経験を、醸成したいと思います。
私がこの業界に入った25,26年ほど前は、手計算的な設計手法は衰退しており、会社ではコンピューターを使った構造解析プログラムが導入され、より精緻な設計が行える環境となっていました。もちろん、最初は手計算から技術と仕事の多くを学びましたが。
諸先輩方の話を聞くと「応力算定や断面算定をすべてコンピューターが一貫でやる時代がくるなんて「電卓と鉛筆」の時代には考えられなかった」、「保有水平耐力計算など手計算では複雑で膨大な量の計算を、短時間で、しかも何度解析しても、同じ結果が導かれるという驚きがあった」と聞きました。
手計算→構造解析→構造最適化解析
功罪はあれど、構造解析のその先、構造最適化解析が一般的となる時代が来ると私は考えています。
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